流山児★事務所 ワールドツアー2005
THE LOVE CRAZED SAMURAI

БЕЗУМНАЯ ЛЮБОВЬ САМУРАЯ

狂恋武士

سامورايي مجنون

かみかけて さんごたいせつ

盟 三五大切」

全員無事帰国しました。元気です。中国、イラン、ロシア、ベラルーシ4カ国。

全13ステージほとんど全て満員。これまでの海外ツアー史上最大観客動員数。約7000人の世界の観客に流山児かぶき『THE LOVE CRAZED SAMURAI(盟三五大切)』はいま《伝説の演劇》となり、その心の中に残ったと確信した8回目の旅。

反日感情の高まりの中での2回目の北京公演は大ブームを巻き起こし大成功。字幕も解説もなしのテヘラン公演初日(2日目はあらかたを許される)。一時「上演中止」も考えましたが、私たちの演劇を待つ超満員の観客に届けるのが我ら河原者の使命。テラヤマ以来の日本の現代演劇の「世界演劇の地平」を示す《伝説》となる。2回目のモスクワも大成功。「即日完売」の歴史的ミンスク公演は「追加公演」までやるベラルーシ演劇界の大事件!又ミンスクの演劇人60人との合同大ワークショップを行う等、イラン以上の《伝説》となる。
様々な人たちの協力で成功した1ヶ月の海外ツアー。本当にありがとう。

「戦争の時代」の真っ只中、私たちは「演劇の力」を信じてこれからも世界中を旅します。

『THE LOVE CRAZED SAMURAI』はまだまだ進化し続けます。ご期待ください。  

報告記(流山児祥の海外ツアー日記)
劇評和訳

撮影:アライテツヤ


[原作]鶴屋南北 [脚本]山元清多 [演出]流山児祥 [音楽]本田実

[出演]伊藤弘子 青木砂織 木内尚 沖田乱  横須賀智美

上田和弘 甲津拓平 イワヲ 畝部七歩 小林七緒

里美和彦 矢野裕美 冨澤力 倉持健吾 本田実 流山児祥

 

あらすじ詳細 (写真入)

キャストプロフィール 

 

公演概要

鶴屋南北の歌舞伎世界を180年の時を超え「戦争の時代」の今、全世界に向けて発信。勧善懲悪のまやかしと運命の悲劇をあざ笑い、あっけらかんとしていて乾いている。ギラギラしていて、やりきれない。金が狂わす、男女の運命。「討ち入り」という大儀のために人を騙し殺し合う。流山児版もう一つの忠臣蔵。人間の生の姿を描く『盟三五大切』は悪とエロスと笑いに満ちた、まぎれもない「現代戯曲」である。

あらすじ

浪人・薩摩源五兵衛は、実は赤穂浪士の一人の不破数右衛門。亡君のの仇討ちに加わるためには自分が警護していて盗まれた御用金を弁償しなければならない。ところが芸者・小万に入れあげてその日暮らしの金にも困っている。
 小万が芸者になったのは情夫・三五郎のためであった。三五郎は勘当の身で、父親がいるという金をつくって、勘当を解いてもらう腹だが、百両ともなると難しい。そこで彼は、源五兵衛からもっと金を搾り取れと、小万をたき付ける。
 金に困っている源五兵衛は家財道具まで売り払う始末。見かねた叔父、助右衛門から百両を受け取った源五兵衛だが、三五郎にそそのかされまた、小万のもとへ出かけてしまう。三五郎は小万とひと芝居組んで、まんまと源五兵衛から百両を巻き上げる。騙されたと知った源五兵衛は小万と三五郎を斬るつもりだったが、2人は取り逃がし誤って仲間の5人を斬り殺してしまう。
そして……。


劇評

 

「Theatre Arts」 004年秋号 江森盛夫

今回、流山児はこの作品の演出、趣向をがらりと変えた。主要人物二人を女優が演じる。薩摩五兵衛を伊藤弘子、笹野屋三五郎を青木砂織が務める。その意図は‐平和への祈りを捧げる「女たち」が男たちの繰り広げる不毛な<大義>のための戦いを「演じてみせる」事によって<戦争の時代>の現在を逆照射するドラマとして構成した−のである。歌あり、踊りあり、殺陣ありの「流山児タカラヅカかぶき」と呼ぶしかないものに仕上がっている。この演出は成功した。女優二人が侍を演じたことによって<大義>に呪縛ざれた人間の愚かさ悲しさが増幅され、また<大義>という至上のイデオロギーが血なまぐさく君臨している現在を炙りだした。百両の金の変転のカラクリが恐ろしいぼど明快で、破滅もいとわぬ色の闇、金と色に身動きできぬ人間の業の深さ。江戸の下層武士、町人の一寸先が闇の日々の暮らしと<大義>との関わりなど、南北が錯雑したテクストで活写した世界を、シンプルで分かりやすく脚色し、歌と踊りがタップリのスピーディなステージングで古典を現代に蘇らせた。

「熊本日日新聞」 2004年8月6日

『東海道四谷怪談』の作者、四世鶴屋南北の原作で、芸者とその夫に金をだまし取られる赤穂浪士を軸に展開する愛憎劇。流山児氏の演出で歌や踊りを交えたエンターテイメント作品に仕立てられ、役者のエネルギーと作品の重厚さが舞台で交錯した。

「日刊スポーツ新聞」  梶繁男 2002.12.10

400年前の歌舞伎を「現在(いま)の演劇」として再構築し徹底して悪の美学を描いた舞台。残酷な悪の奥に人間の本質が透けて見えた。

「朝日新聞」今村修 2002.12.27

赤穂浪士の一人、不破数右衛門を主人公に金と色の因果が渦巻く世界を描いた鶴屋南北の歌舞伎を極彩色の音楽劇に仕立て、すばらしい悪の華を舞台に咲かせた。

「シアターガイド」 2003.3

今まで見た『盟三五大切』の中で一番面白い。エネルギーが劇場にあふれ渦巻いている。この世を突き動かしているのは色と欲と言わんばかりのピントを絞り込んだ演出が役者の演技と一体となって、観る者を南北の世界に引きずり込んでいた。引きずり込まれる方もそれを楽しんでいた。

「テアトロ」 渡辺保 2003年2月号

スピーディな展開が、誰にでもわかりやすく、しかも衝撃力を強めて爽快である。見ていて私は南北の歌舞伎が意外にも近代的なバランス感覚をもっていたこと、そして百両の金の変転を合理的に措いてきわどい綱渡りを演じて、ほとんどナルシスティックな会心の笑みをうかべているような気がした。 あのスピード感と戯曲の明快さは、多くの『盟三五大切』が学ぶべきであろう。

 

「テアトロ」 斎藤偕子 2003年2月号

南北の描く世界、大量の残忍な血を流した忠臣蔵にまつわる人間模様の虚しさの最たる想いを、ずしんと残した舞台だった。

「まなぶ」 瀬戸宏 2003年2月号 

討ち入りという大義のために人を騙し、殺し合う『盟三五大切』。

歌舞伎では凄惨な殺し場が一つの見せ場なのだが、流山児演出では扇情的な場面は抑えられ、劇中の人間関係を浮かび上がらせることに重点が置かれる。それは、「討ち入り」という大義と個人の情の間でもがく人間の姿である。大義のためには、人を騙し、殺しても許されるのか。大義の実現の裏には、いかに多くの犠牲があるのか。
歌舞伎、現代演劇の双方で『盟三五大切』を観てきたが、今回ほど劇構造がよく理解できたことはなかった。        

 

 


東京公演

2005年1月13日(木)〜16日(日)ベニサンピット

13日(木)     19時 英語字幕
15日(土)     14時 中国語字幕
16日(日)     14時 ロシア語字幕

前売り4000円、当日4500円、学生3000円(日時指定・全席自由)


海外公演

2005年1月20日〜2月13日

中国・北京 北劇場 公演

イラン・テヘラン ファジル国際演劇祭参加公演

ロシア・モスクワ ストラスノイ劇場 

ベラルーシ・ミンスク ゴーリキ記念アカデミードラマ劇場公演