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流山児★事務所(東京)×OFFICE30(香港)国際共同制作公演

作 寺山修司  演出 流山児祥 

平凡なある家族が、遺伝的要因から家族のうちに1人狂人がいると医者に宣告を受ける。自分が狂人と見なされることを恐れ、家族たちはそれぞれの身体的、肉体的なハンデやコンプレックスを隠し、画一化された行動を取り始める。   

1935年生まれの歌人であり、映画監督であり、劇作家、演出家である寺山修司が1962年に書き下ろした唯一の人形劇台本『狂人教育』。人形と人形使いの対話を通して、人間の個性と社会構造の関係性をコミカルに描く暗黒歌劇。 

寺山修司没後25年を迎えた2008年、世界中を旅した流山児★事務所の代表作を香港で活躍する女優たちとのコラボレーションで再構築します。「北京語 日本語字幕付き上演」寺山修司の母校である早稲田大学での特別公演を皮切りにした国内3都市、アジア3都市公演は必見!
 

 
E-RUN
(イーラン)
王 美芳
(ワン・メイファン)
陳 彩旋
(チェン・ツァイシュエン)
秀妹
(シウメイ)
蔡 文軒
(カイリ・チョイ)
洪 珮菁
ホン・ペイジン
日本・神戸出身。2000年 中央戯劇学院演技専攻修士課程を修了後、活動拠点を香港に移し日本の戯曲の翻訳作品を中心としたプロデュース公演を展開するパワフルな女優。12月には香港で鄭義信作・演出の「杏仁豆腐のココロ」に出演。

日本在住華僑3代目。両親とも中国人であり、日本で生まれ、日本で育つ。
北京中央戯劇学院に留学後、日本大学芸術学部を卒業。現在は日本のみではなく、様々な国の舞台で活躍中の女優。特技はマイム・スローモーション。

中国・広州出身。広州話劇団所属。女優として舞台・テレビ・MCなどで活躍する一方、演劇プロデューサーとしては「広州に小劇場演劇の風を!」と大学生演劇祭などを企画。その他、脚本アレンジ、作詞も手がけるマルチな演劇人。

台湾出身・アミ族。フィジカルシアターとして高い評価を受ける優劇場(現在の優表演芸術劇団)にて鼓師を務め、アビニヨン、N.Y.などの世界芸術祭参加。現在、台湾法務局の打楽器指導を務める。劇団・莫比斯創作公社の団員でもある。

香港出身。日本人の祖父を持つ、クオーター。ミュージカルを中心に幅広い活動をしている。出演作品には『レ・ミゼラブル』『コーラスライン』など 。ディズニーアニメ『Little Brown Bear』の広東語バージョンの主題曲を歌っている。

台湾出身。2002年よりシンガポールの劇作家郭宝昆創設のTTRPにて多言語・多文化の芸術実践、創造を学ぶ。現在、台湾・EX亞洲劇団の作品を中心に活動。最近の作品に《水の駅》、一人芝居《我秀》、《さよならSARS》などがある。

《狂人教育》故事梗概

 

「寺山修司と流山児祥の絆」  扇田昭彦演劇評論家

 流山児祥が率いる流山児★事務所は、しばしば意表をつく突出した舞台を見せてくれる。流山児★事務所の寺山修司作、流山児祥構成・演出の『狂人教育』もその一つだ。流山児★事務所の国際活動における「顔」と言っていい舞台である。

 原作の『狂人教育』は1962年、人形劇団ひとみ座が初演した寺山の初期戯曲である。 1962年と言えば、劇団四季が寺山の処女戯曲『血は立ったまま眠っている』を初演してから2年後で、当時、寺山は26歳。この年、文学座アトリエ公演では寺山の一幕劇『白夜』も上演されている。寺山が演劇実験室「天井棧敷」を旗揚げして演劇活動を本格的に始めるのは5年後の1967年だ。

流山児演出の舞台を見て、この作品の先駆的実験性に驚いた。この作品には、劇の虚構性や約束事を故意に暴露する場面が いくつも登場するが、近代劇の方法に従って書かれた同じ時期の戯曲とはずいぶん違う性格の作品なのだ。

 ゴードン・クレイグの超人形説に共感を示すなど、俳優を人形的存在にすることを好んだ寺山だけに、人形劇の執筆に当たっては、彼は人間の劇よりずっと方法的に自由になれたのではないか。例えば、登場人物の1人である人形のマユが、「作者」の意図を知ろうと、自分を操る「人形使い」に話しかけるという、普通の人形劇なら絶対にありえない場面が出てくる。「じゃあ、あたしたちの人生をきめているのは作者の寺山修司さんなのね」というセリフまで語られる。

 それに対して「人形使い」は、「わかるもんですか。あの人(寺山)だって奥さんとのやりとりだの、新聞記事だの世の中の情勢だのによってどんどん本を作りかえてゆくんだ」と答える。現実には寺山修司が女優の九條映子(現・今日子)と結婚するのは翌年の1963年なのだが、その1年前に早くも「奥さん」が予告されているのが面白い。

 この実験性に富む人形劇を、流山児祥は人間の俳優が演じる舞台、しかも劇の中心となる6人の家族を全員、女優で演じるスタイルへと大胆に作り変えた。(略)

 寺山の遺作『新・邪宗門』(1983年)をはじめとして、『青ひげ公の城』『さらば映画よ』『書を捨てよ、町へ出よう』『血は立ったまま眠っている』を上演するなど、流山児祥は寺山修司との強い絆を保ってきた。『 狂人教育』はこの絆から生まれた新しい実験の成果である。

 

東京 特別無料公演 2008年9月6日(土) 15時開演

【会場】 早稲田大学 大隈講堂   新宿区早稲田1-6-1 

【料金】 全席自由 無料

【予約・問合せ】 流山児★事務所 TEL 03-5272-1785

【後援】早稲田大学 演劇博物館 

 

仙台公演  ◆街が劇場になる日2008参加企画◆     2008年9月9日(火)、10日(水) 19時開演

【会場】白鳥ビル8Fホール (晩翠通り春日町・あべひげ隣)

【チケット】 日時指定 自由席 前売り 2,000円 当日 2,500円 

  【予約問合せ】 せんだい演劇工房10−BOX 
                        TEL 022−782−7510 FAX 022−235−8610   担当:亀山
(おろしまち舞台芸術支援会議)

【制作】おろしまち舞台芸術支援会議 【協力】SENDAI座☆Project せんだい演劇工房10−BOX

札幌公演 2008年9月13日(土) 19時、 14日(日) 14時 開演

【会場】 生活支援型文化施設 コンカリーニョ ザ・タワープレイス1F(JR琴似駅直結) TEL 011-615-4859

【チケット】日時指定 自由席 前売2,000円 当日2,500円 

【共催・予約問合せ】NPO法人コンカリーニョ TEL 011-615-4859 

【協力】NPO法人札幌えんかん


2008年9月15日〜10月3日

         香港 前進進劇場 / 杭州 紅星 大劇院  /上海 上海大劇院 にて公演。

 


 

【音楽】本田 実    【振付】北村真実    【形態指導】エンディ・ン 【衣裳】バッカス・リー

【照明】横原由祐(シアタークリエイション)   【音響】島 猛  齋藤貴博( ステージオフィス)

【舞台監督】吉木 均 【メイク】青木砂織   【翻訳】E-RUN  【演出助手】諏訪 創

【宣伝美術】Flyer-ya 【宣伝写真】立木義浩(フォルクスワーゲンに乗る寺山修司)

【協力】九條今日子  早稲田大学演劇博物館  青森県近代文学館  香港表演研究中心  テラヤマ・ワールド

【制作】畝部七歩 米山恭子  香港制作】OFFICE30(E-RUN)   【中国公演制作】袁 鴻(ユエン・ホン)

【主催】流山児★事務所 OFFICE30(香港)

流山児★事務所(東京)×OFFICE30(香港)国際共同制作公演

平成20年度文化庁国際芸術交流支援事業


 

【『狂人教育』上演記録】

1999年 8月韓国公演−MADANG99’韓国果川国際演劇祭招待(世界初演)
1999年10月東京公演−渋谷ジアン・ジアン
2000年8〜9月カナダ公演−エドモントン・ビクトリア・バンクーバーフリンジ・シアターフェスティバル参加 ビクトリア国際演劇祭グランプリ受賞
2001年8月東京公演−かめありリリオホール
2001年9月エジプト公演−カイロ国際実験演劇祭招待参加
2002年8〜9月ジャパン・ツアー−九州・東北10都市 (『人形の家』と改題して上演)
10月 ワールド・ツアー−北京・モスクワ・台北・マカオ・東京(シアターサンモール)
2003年 3月カナダ公演−トロント・ブライス・バンクーバー・ソルトスプリング
2003年6月韓国公演−水原華城国際演劇祭 招待参加
2003年11月東京公演−Asia meets Asia2003招待参加 麻布die pratze
2006年3月中国公演−北京・流山児★事務所三作品連続公演
2006年10月 東京3ヴァージョン公演 (ベニサン・ピット)

 

【流山児★事務所(りゅうざんじ じむしょ) 概要】

状況劇場、早稲田小劇場に所属し、1970年より「演劇団」を率いていた演出家・俳優の流山児祥が、1984年に設立した演劇企画事務所であり劇団である。1983年5月『新・邪宗門』という作品を残して「早すぎる死」をとげた「永遠の前衛」=寺山修司の演劇的意志を引き継ぐために25年前に生まれた集団でもある。

役者たちの《新しい出会い》と小劇場運動の《新たなる展開》をめざし、実験性の中に真の大衆性を備えた舞台芸術創造活動を多岐にわたり国内外で精力的に行っている。1986年に上演した伝説の野外劇『ラスト・アジア』、2000年新宿、2003年下北沢の市街を巻き込み上演した『書を捨てよ、町へ出よう〜花札伝綺〜』、3度にわたって上演し高い評価を得ている『青ひげ公の城』、世界30都市で上演され5万人の観客を魅了しビクトリア国際演劇祭でグランプリ受賞した『狂人教育』、ロシア・ベラルーシ・イランなどで上演された『盟三五大切』、北京で高い評価を受けた『ハイ・ライフ』等の代表作がある。

寺山修司や唐十郎などの大御所の 名作から、今をときめく人気劇作家の新作、また名古屋や大阪などのリージョナルで活躍する才能の発掘など、取り上げる作品は実に幅広い。 1991年の『流山児マクベス』の韓国公演以来、ワールド・ツアーを定期的に行い、海外での評価も高い。近年はカナダ、ロシア、イラン、韓国、インドネシアなどの演劇人との交流も盛んでコラボレーションも積極的に行っている。

また45歳以上の大人の劇団「楽塾」や「パラダイス一座」の活動も同時に行っている。「パラダイス一座」で2006年に上演した『オールド・バンチ』は、70歳後半〜90歳の役者たちを中心に据え、シニア世代の演劇活動の可能性を大きく押し広げる舞台として注目された(倉林誠一郎記念賞受賞)。

演劇モットーは「歌って踊って恋をして」。小劇場の熱いメッセージ=「人間の自由さ」を全世界の民衆のココロに届け続ける日本現代演劇を代表する劇団である。


【問合せ

流山児★事務所 TEL:03-5272-1785

〒162-0045 新宿区馬場下町60-307 

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